死んだ犬が、生きて戻ってくる夢をみた。
彼はとても頭がよくて、犬というより人間に近かった。
だからきっと鎖に繋がれて、無為な日々を過ごす事に耐えられなかったのだろう。
死んだ原因を人に話せば、哀しい事故だと言われるだろうけど。
私はずっと、あれは彼の意志だったのだと思っている。
私は彼の埋められた場所を知らない。
彼の命日もどれくらい前に死んだかも、もはやわからない。
ただ夏のある日にいなくなった。
それだけは覚えている。
あれから何度目だろうか。
この季節になると、彼の事を思い出す。
私は彼に非情なほど、何もしてやれなかったけれど。
彼の事は、忘れない。
この先、夏が来る度に。
私はまた、彼を思い出す。